2019-06-14 第八夜 気付けば指にイボがいくつも出来ていた。 「タコの呪いだ」 通りすがりの漁師が、当然のようにそう言った。 何の因果か、その漁師から、イボ鯛を4、5匹貰った。 煮ても焼いても、唐揚げにしても、まことにうまい魚である。 日に日にイボは増殖した。 とれたての地ダコに塩を揉みこんで、洗濯機に入れて5分回した。 「吸盤のようなイボだ」 その手でタコを茹で、ブツ切りにして、祈って酒の肴に加えた。 「謹んで食らうがよい」 通りすがりの漁師が言った。