台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第九夜

気が付けば、高血圧になっていた。

まだ薬には頼るまいと、塩ラーメンのスープを残し、カゴメのトマトジュースを飲んだ。

 

にわかには、信じがたい味がした。

子供の時分に打ちのめされた、あの強烈なクセがほとんど無くなっている。

飲み口は至ってマイルド。時にフレッシュな口当たり。

自分が歳を取ったからか。たゆまぬ技術の進展か。

 

革新的な味に心底感心したあと、改めて剣菱をあおり、塩辛をつまむ。