台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第五十一夜 大和

もう冬か。なんて鳥肌立てて大和路で、赤や黄色の紅葉に埋もれ、きつねうどんをすすっています。

そりゃずいぶんと迷いましたよ。ここまで辿り着くのには。

そうは言っても今もなお、自分が大和のどこにいるのか、はっきりわかっていませんが。

まあ、幸運にもこうして赤いきつねをいただける大和はやはり国のまほろば。見渡せば秋が極まって、そりゃ鳥肌も立ちますよ。

マンハッタンに居を移した友人は、初めての異国の冬に片足突っ込んで震えているかな。

ああ、世界の中心は冷えるねぇ、なんて両手をさすり、真っ白な息を天に向かって吐き出しながら。

それでセントラルパークでさ、カップヌードルすするんだよ。

この世がどうか安寧でありますように、なんて思わず、柄にもないことをふっと願ったりしてさ。