2021-10-20 第四十九夜 らっきょう やがて、雨が降り始めた。 あえてぬかるんだ畑に入り、ドロドロになってまでキュウリを採ることもなかろうと、遠征は中止。 家に帰ると妻はいくらか気を取り直し、黙々とらっきょうの皮をむいている。 「アナハイムも雨だってさ」 綺麗にむかれたらっきょうを一瞬だけ湯にさらし、乾燥させて、それをビン詰め。定番の、おたふく製らっきょう酢に漬ければそれで、おおかた事は整うという。 やれやれ。 ひと仕事終えて妻は、ここぞとばかり、ペヤングソース焼きそばを食うつもりだ。