台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第四十九夜 らっきょう

やがて、雨が降り始めた。

あえてぬかるんだ畑に入り、ドロドロになってまでキュウリを採ることもなかろうと、遠征は中止。

家に帰ると妻はいくらか気を取り直し、黙々とらっきょうの皮をむいている。

アナハイムも雨だってさ」

綺麗にむかれたらっきょうを一瞬だけ湯にさらし、乾燥させて、それをビン詰め。定番の、おたふく製らっきょう酢に漬ければそれで、おおかた事は整うという。

やれやれ。

ひと仕事終えて妻は、ここぞとばかり、ペヤングソース焼きそばを食うつもりだ。