台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第三十五夜 蓬莱

黄昏時に洗濯物を取り入れる。

ベランダから飛び去ったのは、極楽鳥の雄かも知れない。

ガレージの脇で、翁と媼が並んで爪を切っている。

いつも決まってこの時間になると、そこに出現する二人。

 

爪を切りつつ二人して、夕日に染まった海を見ている。

そこにたまたま富山の薬売りが、蓬莱の豚まんを運んできた。

潮が引いた砂浜に出てアサリを掘り出し、ボンゴレビアンコを作るプランは無しだ。

かといって豚まんだけで、晩御飯になりうるか、悩む二人。