台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第三十四夜 獅子頭

それにつけてもおやつはカールで、物欲しそうに金魚が見ている。

この二匹、正統なオランダ獅子頭ではないらしい。

その姿といい、泳ぎといい、見れば見るほど品がない。

 

時々ヒレで、水面を叩く。

今夜はカレーだ。

しかもスーパーで、三元豚のロースカツを半額で手に入れたのだ。

何という幸運。

 

身をくねらせる、二匹の金魚。

口をパクパクさせながら、激しく頭を振っている。

カツカレーを独占する人間が、どうにも気に入らないらしい。

金魚とは、こういう生き物だったのか。

しまいには、二匹並んで水中で、獅子舞いのような動きを披露しはじめた。