台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第二夜

こんばんは。

熱燗で一杯、やってます。

夜も更けて、何やら風が凄まじいですね。

道行く人は、横なぐりのクラゲに注意してください。

 

新聞受けにヤリイカが一本、飛び込んできました。

「こいつを炙って、酒の肴にするがよい」

勝手に家に上がり込んでいた光源氏が、タバコをくゆらせ言いました。

 

これが最期と深夜のローカルラジオから、密かに流れ出したのは、舟唄。

吹きすさぶ風に、無惨に散らされてゆくその旋律を追いながら、一杯傾け、

まるで見ず知らずの思い出を、しみじみ味わっているところです。