台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第二十九夜 ISS

土曜日の夕刻に、洗濯機を回しました。

「これっきりボタン」を押して、後は待つだけ。

ぬるいインスタントコーヒーを、うまくはないのに飲み続けています。

キャラメルコーンの袋の底に埋もれている、ローストピーナッツを探しながら。

 

外はすっかり日暮れ。

洗濯物を干しにベランダへ出ると、どこからか、炊き物の香り。

「今宵は鯛のアラ煮を突つくのが吉と出ました」

ついては夜桜の遥か上空を流れてゆく、国際宇宙ステーションの光を愛でながら一杯。

諸行無常の「響」が、これ幸いと、ロックグラスを柔らかな琥珀色に染め上げてゆきます。