台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第四十四夜 山椒

スーパームーン皆既月食が重なって、あたりはいくぶん、暗くはなったが。

この夜にまさか、釜など抜かれはしないだろうね。

闇に紛れて糠床に、山椒の実をパラパラと。

呪文を唱えつつ妻が、新たに糠に混ぜ込むモノとは。

その山椒の実以外、この位置からはよくわからんな。

何せ皆既月食の真っ只中でもあるわけで。

ときじくのかくのこのみを入れたってことは無いかね。

一か八かって感じでさ。

何せ皆既月食なもんで、そんな伝説の実がひとつ、たまたま台所に転がっていても不思議じゃないって。