2020-10-12 第四十夜 清少納言 カレーは好きで、よく食べる。 昨晩も食べて、朝、ゲップをしたら、その匂いで思わず目覚めた。 春はあけぼの、気分が悪い。 テンピュールの枕にも、カレーの残り香が、しつこくまとわりついている。 いとあさまし。 名月の夜は、香の代わりに、カレーを炊いて、周囲から、不評を買った。 それでも二、三の好き者はいて、その者たちと、バーミキュラの鍋を囲った。 カレーを炊くなら、バーミキュラ。 月を愛で、その鋳物の鍋を飽かず愛で、後先のことを考えず、好きなだけカレーを食べて、屁こいて寝る。 いとをかし。