台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第四十夜 清少納言

カレーは好きで、よく食べる。

昨晩も食べて、朝、ゲップをしたら、その匂いで思わず目覚めた。

春はあけぼの、気分が悪い。

テンピュールの枕にも、カレーの残り香が、しつこくまとわりついている。

いとあさまし。

 

名月の夜は、香の代わりに、カレーを炊いて、周囲から、不評を買った。

それでも二、三の好き者はいて、その者たちと、バーミキュラの鍋を囲った。

カレーを炊くなら、バーミキュラ

月を愛で、その鋳物の鍋を飽かず愛で、後先のことを考えず、好きなだけカレーを食べて、屁こいて寝る。

いとをかし。