台所夜話

食べ物にまつわる夢の話

第三十一夜 酒かす

二軒目のスーパーで、同じ酒かすが、一軒目より二十円安い。

そのショックを、布マスクで覆い隠してスーパーカブにまたがり帰宅。

ヒノキ花粉と新型コロナウイルスが、桜の花びらとともに舞うのも止むなし。

シラフで眺める花もたまには良かろうと、令和の世に迷い出た大伴旅人がうそぶく。

 

上野の山には登れないので、ベランダに咲いたフリージアを観賞する。

ローストされた酒かすは、ビッグマックに挟み込まれて仏前に。

残った酒かすは、季節を問わず、かす汁にして、夜のメニューに忍び込ませる。